岐阜県博物館

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日本最古の恐竜卵殻化石に関する研究について

公開日:2021年7月3日

日本最古の恐竜卵殻化石を確認
〜手取層群の恐竜類の多様性が明らかに〜

卵殻の化石は、たとえ小さな破片であっても、これまで知られていなかった動物の存在を明らかにできる可能性を秘めた重要な研究対象です。国内では近年、兵庫県や山口県などから相次いで恐竜の卵殻化石が報告されており、当時の日本の恐竜相を探る手がかりとして利用されています。
岐阜県高山市荘川町に分布する前期白亜紀の地層「手取層群大黒谷層」は、以前より魚類やカメ類、恐竜類など多様な脊椎動物の骨化石が産出しています。1988~2009年にかけて、卵殻化石が計9点見つかっていましたが、その詳細な分類は不明のままでした。
この度、岐阜県博物館や筑波大学、千葉県立中央博物館などの共同研究において、これらの卵殻化石を分析した結果、カメ類およびトロオドン科(非鳥類型獣脚類と呼ばれる肉食・雑食の恐竜グループ)に属する可能性が高いことが分かりました。手取層群ではこれまでトロオドン科の骨化石は見つかっておらず、本研究が手取層群でトロオドン科の存在の可能性を示す初めての報告(トロオドン科とみられる卵殻化石の発見としては兵庫県に次いで国内2例目)となります。これにより、骨化石では未確認だった獣脚類恐竜の多様性が明らかになりました。当時の岐阜は、動物たちにとって繁殖を行うのに適した豊かな環境だったと推測されます。
また、最近の年代測定の報告から、大黒谷層は約1億3000万年前に形成されたと推測されており、荘川の標本は恐竜類の卵殻化石としては国内最古となることが分かりました。
前期白亜紀は世界的にも卵殻化石の発見が乏しい時代であるため、岐阜の標本は、恐竜類の進化や生態を考える上で重要な発見と言えます。

 本研究成果は、2021年7月3日にオンライン開催された日本古生物学会2021年年会において報告されました。

左:トロオドン科に属する可能性の高い非鳥類型獣脚類恐竜の卵殻(撮影:植松里菜)
右:トロオドン科恐竜の復元画(画:小田 隆)

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