アマミノクロウサギの剥製
先日、県内の高等学校から、戦前、博物学や理科の授業で使用された剥製(はくせい)標本の寄贈を受けました。その中に、アマミノクロウサギの剥製が2体ありました。アマミノクロウサギは鹿児島県の奄美大島(あまみおおしま)と徳之島(とくのしま)のみに生息する原始的なウサギです。国の天然記念物としての指定は早く、大正10年(1921)です。その後、昭和38年(1963)には、国の特別天然記念物に指定されました。残念ながら、採集年月日は分かりませんが、ラベルには「天然記念物 アマミノクロウサギ 奄美大島産」とあります。天然記念物を捕獲していいのか、という疑問もありますが、昭和10年代の学校教材を取り扱う業者の目録にも「商品」として、堂々と掲載され、販売されていました。
剥製のウサギは罠猟(わなりょう)に掛かってしまったもののようで、腕の先端が欠けており、また、もう1体は、顔面の破損が激しく、修復できそうもありません。顔面の破損がない方は、いずれ紹介する機会があるかもしれません。このように、学校の理科室には、貴重な資料が眠っていることがあります。今後も、可能な限り、「再発見」していきたいと思います。